勝股 秀之。アーティスト。イラストレーター/デザイナーである。
様々な画風のイラストやデザインを創り上げ、仕事の中で多彩な表現を示している。
だが自身のスタンスとしては「絵描き、アーティスト」でいたいと言う。
実際に手がけたライブラリの一部を紹介すると
「エレファントカシマシ/日本 夏、野音 秋(CD)」、「スピッツ/テクテク/(PV[プロモーションビデオ])」、「タバコジュース/喜びがやってくる、青い鳥/(CD,PV)」、「パスカルズ/どですかでん/(CD)」、「きたはらいく/そして、理解を・・・/(CD)」、「ムーンライダース/セレクション/(CD)」、「Brushing Works Inter Play 1~4 selected by Toshimi Watanabe/(CD)」など
CDやプロモーションビデオのジャケットで使用されたイラストやデザインが並ぶ。
「元々、音楽が大好きで自分にとって描くときにイメージがしやすい。仕事としても非常に楽しめる。」
と言う。音楽関連の業界には友人も多い。雑誌「ぴあ」などでもイラスト描く機会もある。
最近行ったおもしろい仕事は忌野清志郎さんがマジックで書いたブーツの絵をアレンジ、デザインをした。
「絵」に関わる生活に変わってから、勝股のキャリアはまだ6年だという。
「小さいころから「絵」は好きだったが、自分の一番好きなものを仕事にすると、それを嫌いになるかもしれない。」と思い、2番目に興味があったアパレルメーカーに就職した。
「そこで知り合った人達の洋服に対する本気さに触れ、自分のスタンスは失礼だと感じた。
自分にとっての「それ」を考えた時、昔から好きだった「絵の世界」があった。」
大学等で専門的に「絵」の勉強したわけではなかったが、その思いを実行するために「絵の仕事をしたい」と会社を辞めた。友人からアートの先端である「ニューヨークでも見てきたら」との話に思い立ち、3ヶ月間ニューヨークに滞在。マンハッタンにあるギャラリーを全て回った。「そこで、自分でもやれる!という決心がついた。変な自信だけは確認できた(笑)」という。その後、東京に戻り「知り合いから請けおったチラシ等を作った」と言う。そんなことを重ねる内に「これ誰が書いたの?」と興味を持ってもらえる人が増え、仕事の依頼が来るようになったと言う。「今もまだまだですけど色々とおもしろい仕事に出会えている」
自身の魅力は「(一般的にいう)短所です」と答えた。自らの性格を「せっかち」で「しつこい」と説明する。
仕事の依頼を受けると、イメージが出来ていれば、わりと直ぐに形にできるという。
「仕事にもよるが打ち合わせ当日の内にイメージを描くこともできる。ジャケットデザインなどなら、2,3日程度で1度目のプレゼンは出せますね。まあ、寝てはいないですけど。」と笑う。
「せっかち」なので、色々と頭の中では考えているが、それに没頭して創り上げることが
苦にならないという。前倒しで提出して、「どうですか?」と進行を催促することもある。
また、「しつこい」ので、ねばりづよく作業が続けられる。アイデアやイメージが出てこない時はとにかく、粘る。こういう仕事を続けられたのもある意味「しつこい」からだと。
「あきらめないで、続けることが大事」と言う。
■仕事も表現。このモンスターを広めたい。
勝股の仕事のスタイルは、アクティブだ。仕事を受けると、まず相手が抱いているイメージを確認する。そこに勝股の分析を入れ、探り、自分なりの「なぜ」を組み込んだ形で提案する。もちろんクライアントのイメージしたものはきちんと創った上で、まったく別のものを+αで提案することもある。
「自分だからできるなにかを魅せたいし、他の人と同じことをしたくないということもある。基本的には仕事も表現の一つ。やっていて楽しいし、最終的に良いモノが出来れば嬉しいじゃないですか」とそれを労力とは考えていない。
「そうやって提案していくと、「次は〜」みたいな形でその後に拡がりがある。」とも。
友人でミュージシャンのBIKKE (TOKYO No.1 SOUL SET)は言う。
「彼はとにかく一生懸命、丁寧にこだわりをもって仕事をする人だと思っています。このご時世の「仕事をこなしていく風潮」に戸惑っている様子を時折見かけるときがあります。
でも彼は良くも悪くも仕事を仕事と思っていないと思います。彼は常に作品を作っているのだと思います。」
「そして勝股という男は現代には珍しく、人情を持っている数少ない魂だとおもいます。」
と語った。
勝股は今後について「デザインやイラストを仕事として受ける影響や刺激はもちろん大きいし、楽しいです。でも、将来的には自分で描いた作品自体を色んな人達に見てもらえ、買ってもらえるような形になればいい。いろいろと模索していたんですが、昨年ふとイメージが沸き上がって産まれたモンスターに「これだ!!」と感じた。今後はこうしたモンスターを描くことを自分のライフワークにしていきたい」という。「モンスターは「守り神」みたいなもの、アフリカとか、沖縄でいうとシーサーのような、玄関に置いておくと、その家を守れるみたいな。子供がこれを見てケンカを止めるとかそういうことでもいいんです。音楽のメッセージで平和とか戦争がなくなればいい、とかわかってることだけど、もう一度考え直すきっかけになるような、そういう中にこの子達がいたら嬉しいなと。モンスターは自分自身や友人などの表れだとも思うし、描いている人間の気持ちがそういう力を創り出すと信じて手を抜かないようにしています。」
勝股からの提案で「自画像(モンスター)」を自身の写真とした。
ゼロから始めた世界。さらなる世界の拡がりを感じさせるのは「アートの魅力」はもちろん、「勝股自身の魅力」にあることは間違いない。