佐藤は人気セレクトショップ「BEAMS」を展開する「株式会社ビームス」に勤め、現在、原宿にあるショップ「International Gallery BEAMS」とアートギャラリー「B-Gallery」のプランナーという2つの大役を任されている。
「International Gallery BEAMS(以下IGB)」はファッションの人気セレクトショップBEAMSの中でもフラッグシップ店でありBEAMSのコンセプトを表現する非常に大切なショップだ。
「IGB」では
プランナーとしてトータルなプロデュースを行う。バイヤー、ディレクター、スタッフなど数多いチームの中でショップを演出していく。「
プランナーの仕事は具体的には説明しづらいが、自分は色々な意味でのパイプ役」と話す。
例えば、様々なファッションアイテムをバイヤーが買い付けをする際、佐藤もそれに同行することがある。
「アイテムの細かな作り、素材、デザインはもちろん、そのブランドの背景や多くのアイテムの中で、なぜ「それ」を選んだのかということを綿密にリサーチしていく」。
最終決定はバイヤーが行うが、ショップ側のフィードバックや顧客の要望などの詳細を、佐藤がバイヤーに正確に伝えることにより「その決定」がより精度の高いものになる。同行しない場合も、もちろん同様にフィードバックとヒヤリングを行う。
逆のこともいえる。ショップでは佐藤自らが積極的にゲストに接客する。
各商品の「様々なインフォメーション」を獲得している佐藤は、ブランドの背景、そのアイテムの細かな個性や特徴、バイヤー側の「なぜこのアイテム」という選択をより詳細にスタッフや
顧客に伝えることができる。
「最終的に魅力的な形でファッションを着こなしてもらうには、ショップサイド
からのプレゼンテーション+実際にご来店頂いたお客様への様々なアプローチが必要になる」という。
「例えば、着心地を優先される方、デザインの持つ魅力に感動される方、また何と組み合わせるかというコーディネートを重視するお客様、そういった様々なニーズに「ピッタリ」合ったモノ、その時々のトレンド、顔映り、などをプロとしてトータルに判断してお薦めするというのがとても大事。まったく同じお客様はいないし、着こなしは非常に重要で、着る人の魅力を大きく左右する。」と説明しそこには「インテリジェンスが必要になる」という。
センスと経験が必要になる仕事だが、それを証言するコメントを紹介しよう。
原宿にある古着ショップ「ベルベルジン」の店長を勤める前田は、「仕事での関係はありません。プライベートでお互いのショップに訪れるうちに話をするようになった」と言う。
「ギャラリービームスの雰囲気や商品構成を見れば佐藤さんのセンスの良さ、できる男っぷりは一目瞭然です。数多いセレクトショップの中でも常にトップクラスのアイテムとサービスを提供しているショップだと思います。」と言い
「佐藤さんのファッションセンスの良さは業界でも有名です。私なんかは佐藤さんに会うたび、ファッションチェックは欠かしません。最近の個人的なベストショットは、20万円位するアレキサンダーマックイーンのジャケットに3千円位の古着の柄シャツをインに着て、お店から事務所まで颯爽と歩く佐藤さんの姿です。この人には勝てないと思いました。」と加える。
その人間性に関しても
「最大の魅力は人の良さです。知らないことがあれば何でも教えてくれます。」と称賛する。
■無限の中から、逸品を選び出す。ジャンルレスなアート達
もう一つの顔である「B-Gallery」 プランナーという仕事を紹介しよう。
「B-Gallery」 は アートギャラリーであり、ある意味そこはファッション以上に「表現の象徴」ともいえる存在。そこで佐藤はアーティストの選択や展覧会の実施の決定をくだす。
「元々BEAMS のコンセプトの中には、ジャンルレス、タイムレス、ボーダーレスというものがあります。つまり、カテゴリーを分けないで、
あらゆるフィールド
からBEAMS らしいものを選び出す。」
「一般のギャラリーでは、どこかのジャンルに強いという「専門性」を持っていますが、
BEAMS がその専門性を追いかけたとしても勝てるものではないし、私達のコンセプトとも違う。様々なジャンルを一つの空間で、BEAMS らしく楽しむことができるということが大事」だと。
「アートとファッションは異なる部分ももちろん多いが、基本的には交わるところが多い。どちらも世相を反映するし、表現であることに代わりはない。」とその関係性についても語る。(BEAMSではアーティストとコラボレートしたTシャツ等を多数展開している。
)
セレクトショップの醍醐味は、「様々なブランドやアイテムのどこの部分を切り出して魅せるか」だという。
また、一番重要なことは「BEAMSのフィルターを通してBEAMSらしさや
独自の付加価値をいかに伝えていくか」だと。
その最も重要な「BEAMSらしさ」は、数値や形が決まっているものではない。それをシェアし表現、保っていく。その難しさを尋ねると
。
「確かに難しいです。システム自体が素晴らしければ、ある程度共有化もできると思うし、作業としての伝達はできる。ただ、本当に「その魅力」を伝えるためには情熱が必要だし、自分が獲得してきた情報をいかに伝えるかという努力も必要になる。最終的には伝えたい気持ちがとても大切。」
「……………たぶん、BEAMS がとても好きなんだと思います(笑)
自分が素敵だなと思ったことに同感してくれたり、その思いをシェアできたりするとシンプルにとても嬉しいじゃないですか、そういうことを毎日繰り返しているだけかもしれませんね。」
「仕事に対しても人に対しても自分が愛すものには正直に向き合っていく姿勢を続けていきたいですね。」と結んだ。
知的な語り口、質問に対して何を求めているのかを的確に掴み、その中でベストを答えようとするその姿勢には、感謝と説得力を感じた。
佐藤の感覚に「一度コーディネートをお願いしたい」と思った取材子の感想に嘘はない。